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「命つなぐ電源」-横須賀・ソレイユの丘、災害時電源供給システム稼動へ

横須賀・ソレイユの丘に設置された「災害時緊急電源供給システム」。ソーラーや電気自動車など複数ソースの電源を活用する

横須賀・ソレイユの丘に設置された「災害時緊急電源供給システム」。ソーラーや電気自動車など複数ソースの電源を活用する

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 横須賀西海岸にある長井海の手公園・ソレイユの丘(横須賀市長井4)で12月20日、災害時に対応するため複数ソースの電源を活用する「災害時緊急電源供給システム」が設置された。24日に稼働開始し、近隣住民や関係者を招いてお披露目する。 

緊急時電源供給システムのイメージ図

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 同システムは、太陽光発電パネル、電気自動車、ハイブリッド車、普通自動車などさまざまな電源ソースを統合し、災害時に必要なライフラインを維持する電源として活用するもの。同公園を運営する横須賀ファームが、電気自動車リーフを生産する日産自動車、三菱電機プラントエンジニアリングの支援を受けて共同開発した。

 昨年3月の東日本大震災発生時、同公園は市の定める避難場所に指定されていなかったが、海抜27メートルと高台にあることから、近隣住民1,000人以上が乗用車で自主的に避難して来たという。同公園は農業体験・温泉施設・キャンプ場を持ち、敷地面積は約21ヘクタール。駐車場は1,500台分。地下水を利用した井戸もあり、大勢を受け入れ可能な施設だ。

 震災時の教訓から、地域住民との防災会議が毎月持たれるようになった。住民との話し合いの中で、「水や食料は何とか備蓄できるが電源確保が必要」との強い要望を受け、専門家のアドバイスを求めながら災害時電力の確保を模索した。

 同支配人の立川正孝さんは「住民参加型の防災システムを目指した」という。「避難してくる車の多さに注目した。ソーラーや電気自動車に頼るだけでなく、住民同士が協力してお互いに持っているものを提供し合い、電力をシェアすることが大事だと気付いた」と振り返る。

 同システムでは、住民の日常の足となっている乗用車(EV)が数多く集まることで、災害時に「動くエネルギー源」となってライフラインを維持する。「EVネットワーク構築型複数ソース併用統合電源供給システム(ENMS-IPSS)」(Integrated Power Supply System that build a EV Network and can be combined Multiple Sources)と命名された。

 三菱電機プラントエンジニアリングの高木俊寛さんは「異なる電源ソースを寄せ集めてシェアするという発想から生まれたシステム。各ユニットを組み合わせて制御しながら使うことで低予算でも最大効率を上げることができた」と語る。機器の設置自体は数週間の工期で可能だという。

 公園内の駐車場に、ルーフ型ソーラーパネル(5キロワット)とリーフ3台を常設。非常時には乗用車搭載バッテリーや市販小型発電機なども電源として併用し、別棟に設置した電力制御システムを介して蓄電設備(リチウム電池)に昼夜を問わず蓄電。停電などの緊急時に必要な救急医療・通信設備、井戸水給水ポンプなどに最大20キロワットの電力を安定供給する。100・200ボルト両電源の動作が可能で、業務用電源としても使える。

 EVの機動性を活かし、近隣避難所や医療施設などに電気自動車で電力をデリバリーすることも可能。平常時には、自然エネルギーや夜間電力を活用して電気料金の削減もできるとしている。

 立川さんは「命をつなぐ電源。住民みんなの力が命のパワーとなる」といい、「避難して来た人たちがただ受身にならず皆の助けとなることで、災害時の大きな壁を乗り越えることもできるのだと思う」と話す。

 12月24日には記念セレモニーを開催(16時30分~)。同システムを活用したクリスマスイルミネーションの点灯式も予定。同施設を身近に感じてもらうため一般募集した愛称を当日発表する。問い合わせは同公園(TEL 046-857-2500)まで。

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