防衛大学校(横須賀市走水1)で11月8日、開校以来続いている伝統の「棒倒し」競技が行われ、1万人を超える観客が集まった。「第57回開校記念祭」の一環。
同日午前中、防大学生隊による「観閲式」が行われ、上空には航空自衛隊「ブルーインパルス」が飛来してアクロバット飛行を披露。午後になると、「棒倒し」目当ての観客がさらに増え、会場の陸上競技場をぐるりと囲んだ。
57年の伝統を持つ「棒倒し」は、同校競技会の中で最も激しく勇ましいものとされる。学生隊の第1~第4大隊から各150人が選抜され、日頃の訓練の成果を競う。各隊が戦術や組織力などの実力を試す場ともなっている。
競技の制限時間は1試合=2分間で、先に棒の角度を30度以上傾けると勝敗が決きまる。第1大隊は赤、第2大隊は青、第3大隊は緑、第4大隊はオレンジ色のカラーシャツで色分けする。
棒倒しでは各自が役割を持つ。攻撃側では、攻撃全般を支援する「遊撃」、飛び付いて棒を倒す「突攻」、スクラムを組んでサークルに突っ込み突攻の踏み台になる「スクラム」。守備側では、棒を囲んで守る「サークル」、サークルの中にいる縁の下の力持ち「棒持ち」、攻めてくる敵を妨害する「キラー」、突攻を振り落とす「上のり」。それぞれがフォーメーションを組んで競技を行う。「事前に相手チームの練習を偵察・ビデオ撮影して作戦を研究するなど、学生たちは真剣勝負で臨む」(校友会関係者)という。
当日の競技では、昨年まで4連覇を続けた第2大隊が初戦で敗退し、決勝は第1と第4大隊の対決に。旗を振って学生隊仲間が応援する中で、ラグビー用耳当てを付けた選手たちがサークル体制を組む。合図とともに両チーム300人が入り乱れ、赤の第1大隊が猛攻。第4大隊のサークルを崩し、突攻が棒によじ登る。赤シャツ数人が群がって棒を倒し、勝負は50秒間で決着した。第1大隊には優勝旗・優勝カップが授与され、学生宿舎に飾られる。
防大開校祭は7日・8日の2日間実施され、模擬戦闘を行う「訓練展示」のほか、弁論大会、演劇祭、アジアン料理模擬店、海外留学生による国際交流コーナー、親子・友情フェアなどが行われ、延べ約23,000人が来場した。