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能楽師の大倉正之助さん 横須賀西海岸「SYOKU-YABO農園」で満月の演奏会

満月の下で演奏する能楽師の大倉正之助さん

満月の下で演奏する能楽師の大倉正之助さん

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 能楽師の大倉正之助さんが7月23日の満月の夜、横須賀西海岸にある「SYOKU-YABO農園」(横須賀市芦名2)で屋外演奏会「満月の調べ」を開催した。

枕木を並べて杉の枝でつくられた特設ステージで演奏(SYOKU-YABO農園)

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 大倉さんは能楽大倉家の系譜で、1955(昭和30)年に15世宗家大倉長十郎の長男として生まれ、9歳で初舞台に上がった。現在は、伝統的な能舞台や国際的な舞台での活動とともに、能楽普及活動にも取り組み、教育機関などで鼓や能楽囃子を中心とする体験授業も手掛ける。

 演奏会では、同農園で栽培した取れたて野菜などを用いた食事も提供。大倉さんが鼓(つづみ)を手に、枕木と杉の枝で作られた舞台にあがった。農園の場を感じながら、即興的に「満月の調べ」を独奏した。

 来場した平山弥生さんは演奏を聞き「一瞬、ふっと時が止まったように感じた。その瞬間に、満月以上の光に包まれているように感じた。何も言葉がでない。すばらしかった」と口にした。平山さんの父で、日本画家の故・平山郁夫さんも、大倉さんと親しかったという。

 同農園では初めての演奏だった大倉さんは「とても響きが素晴らしい場所」と話し、「農園に鼓を寄付して、ここを訪れる子どもたちと一緒に練習をして発表をする機会を作りたい」とも。農園では、夏休み期間中、子どもたちに農園を開放し、地域社会で子育てをする取り組みも行っている。

 山に囲まれた農園では月が現れる時刻が遅く、木々の間から月が見えたのは演奏が終わった後で、21時過ぎだった。東京の自宅から大型バイクで横須賀に訪れていた大倉さんは、愛車「インディアン」の前で満月を見上げながら「もう一度演奏しましょうか?」と笑った。

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