楽天と西友は横須賀市馬堀海岸の住宅地で3月23日より、西友店舗から利用者の自宅まで商品を届ける小型の自動配送ロボットによる配送サービスを始めている。自動配送ロボットが公道を走って、スーパーの商品を地域住民に配送するのは国内初の試み。
自動配送ロボットの側面パネルに暗証番号を入力して、商品を取り出せる
期間は4月22日までの火曜・木曜限定で、延べ10日間(1日6便)。「西友馬堀店」で取り扱う日用品(約400品目)を隣接する住宅地域(約800人在住)に届ける。
対象地域の住民が、スマートフォンを使って専用サイトから買い物し住所と配達時間を指定して注文、または直接店舗で選んだ商品をサービスカウンターに持ち込んで配送を依頼するという、2パターンで配送利用(手数料無料)ができるもの。スマホ利用が困難な高齢者にも対応した。
配送ロボットが自宅前に到着すると、自動音声で電話をかけて到着を知らせる。利用者はロボット側面パネルに暗証番号を入力して扉を開け、商品を受け取ることができる。配送ロボットはマッピング機能により公道を自動走行し、障害物を感知して立ち止まったりするほか、同地域から5キロ離れた「横須賀リサーチパーク」で遠隔監視されており、遠隔操作も可能。
使用する配送ロボットはパナソニック製で、機体サイズは長さ115センチ、幅65センチ、高さ115センチ。最大積載量は30キログラム、時速4キロで住宅地を低速走行する。
同サービスを利用した地元の83歳女性は「お米や飲料水、調味料など重いものを運んでもらえるのは助かる。また利用したい」とほほ笑み、配送ロボットに手を振って見送った。
楽天ロジステック事業部の向井秀明さんは「現在は安全のために配送ロボットにスタッフが同行して実施しているが、実証実験を繰り返して課題をクリアし、遠隔監視のみで複数台の配送ロボットを動かせるようにしたい。国の規制緩和も進んでいるので、できるだけ早い時期に実用化を目指したい」と意気込む。コロナ禍の中で、ネットスーパーの需要拡大もあり、非接触型の無人配送サービスも視野に入れる。
上地克明・横須賀市長は「高齢者が増え、山坂が多い谷戸地域で買い物困難者が生じるなど地域課題解決につなげたい。ロボットが地域コミュニティーの一員となり、ドローンや配送ロボットが走り回るという姿を思い描いている」と話す。
楽天、西友は横須賀市が推進する「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」の一環として、新規ビジネス創出や社会課題解決に共同で取り組む。2019年7月には「西友 リヴィンよこすか店」から海を渡って、無人島・猿島を訪れる観光客向けに商品を届ける「ドローン配送サービス」を約3カ月にわたって提供し、利用者から好評だった。同年9月には、同市「うみかぜ公園」内で一般利用者を対象にした自動走行ロボットによる商品配送サービスも行い、安全性を確認。今回の公道を使った地域住民向けサービスにつなげている。