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女子高生たちの「ヨコスカネイビーパーカー」、中学教科書に掲載 社会参画の教材に

「ヨコスカネイビーパーカー」を取り上げた来年度の中学道徳教科書「明日への扉」(学研教育みらい発行)

「ヨコスカネイビーパーカー」を取り上げた来年度の中学道徳教科書「明日への扉」(学研教育みらい発行)

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 全国の中学校で2019年度に使われる教科書に、横須賀の女子高生たちが3年前に取り組んだ「ヨコスカネイビーパーカー」のエピソードが掲載されることがわかった。同書は、学研教育みらい(東京都品川区)が編集・発行し、中学2年の授業で使う道徳教科書「明日への扉」。

「ヨコスカネイビーパーカー」を着て笑顔をみせる女子高生チーム(当時)

 同教科書は全35章のエピソードで構成。第8章に「ヨコスカネイビーパーカー」と題して、写真・イラスト・地図入りで5頁にわたって紹介。「全国の自然や人物、話題を紹介し、郷土愛につながるよう工夫もしています」(学研)という。

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 同パーカーの取り組みは、県立横須賀高校3年(当時)の「y.s.plus」チーム、八村美璃さんら女子高生6人が新しい地域ブランドファッションとして提案。2014年12月~翌年3月まで、「横須賀学生政策コンペ」(学生団体スカペンコ主催)の一環で活動。コンペで優勝し、横須賀市長にまちづくり政策のプレゼンテーションも行った。

 地域活性化のアイデアを練り、地元・横須賀をアピールする新デザインのパーカーを考案。ツイッターやファイスブックなどSNSも活用して、パーカー150着を自主製作。「自分たちが作ったパーカーの反響を試したい」とイベント販売にもチャレンジ。途中で壁にぶつかり、「NAVY」ロゴが大手企業に商標登録されていることが分かって、「中止か続行か」悩み続けたことも。そんな様子が、教科書でもストーリー展開されている。

 3年前、女子高生たちの活動がネット記事やSNSでも拡散され、「ヤフーニュース・トピックス」(横須賀経済新聞 2015年3月2日記事)で全国ニュースに。テレビ局の情報番組にも取材され、「再現ドラマ」が全国放送されるなど、大きな話題を呼んだ。学研の編集委員・大学教授らがこれに注目し、教科書のエピソード集のひとつに採用された。

 同社は編集趣旨について、「生まれ育った横須賀市を活性化させる政策を提案した高校生の話から、社会参画の意識を高め、よりよい社会の実現に努めることについて考え、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことができるようにしました」としている。

 「y.s.plus」チームはその後、高校を卒業して大学生になっても地元での活動を継続し、「パーカー第2章」へ。「ヨコスカを着て、何をする?」と呼び掛け、「人と人とのつながり」「肌で触れるコミュニケーションツール」をテーマに、パーカーを着た人たちを集めるイベントを展開。パーカー忘年会やパーカーParty、商店街と連携した周遊イベントなども実施。2015年3月までに1000着超のパーカーを販売し、市内外の若者たちとのつながりを持った。

 チーム代表の八村さんは現在、中央大学4年。日経電子版「College Cafe」で「わたしが生まれた、横須賀」と題した連載エッセイ(2017年5月~)を執筆し、パーカーへの思いを綴っている。

 「ネイビーパーカーそのものは、年と記憶と共にタンスで風化していくかもしれません。わたしたちの物語も、そもそも知らない人がほとんどの上、知っている人にも段々と忘れられていくでしょう。本当にまちにとって必要なのは、パーカーではなく、まち全体を巻き込んで、どうしたら『もしも』を『本物』にできるかを一緒に考えていくこと。これは、感度が高い人でなくても、女子高生じゃなくても、『若者』じゃなくても、パーカーじゃなくても、横須賀じゃなくても、みんなができることなんです」(八村さん)

 同教科書は、各地域で行われる「教科書展示会」(6月~7月)で閲覧できる。市内会場は教育研究所(同市久里浜6・南部図書館)、ヴェルクよこすか(日の出町)。開催時間は平日9時30分~19時(土日は17時・最終日は16時30分)、6月28日まで。

 現在、中学の道徳は「課外科目」だが、来年度より「正規科目」として検定教科書が使われる。今春発表された文部省の検定には8社30冊が合格。公立中学で使用する教科書は、各自治体の教育委員会が採択する。