横須賀西海岸・秋谷に住む創作家・広田千悦子さんが3月下旬、日本の四季を深く味わうイラスト&エッセイ集「くらしを楽しむ七十二候」(アース・スター エンターテイメント刊)を出版した。価格は1,470円。
日本の歳時記や四季の暮らしをテーマに執筆する広田さん、15冊目の著作。同書は、春夏秋冬の四季をさらに細かく分け、5日ごとの節目となる旧暦の「七十二候(しちじゅうにこう)」を紹介しながら、旬の行事や暮らしにまつわるエピソードを記したもの。広田さんが描いたイラストと文章、夫で写真家の広田行正さんが撮影した四季折々の写真も掲載する。
「七十二候」は、気象の動きや動植物の変化を短文にしたもの。4月には、「玄鳥至(つばめ きた)る」「鴻雁北(こうがん かえ)る」「虹始めて見る」など季節の変化をあらわす名称がある。古代中国で考案され、江戸時代に日本の気候風土に合うよう改訂されたと伝わる。
広田さんは、「七十二侯の魅力の1つは、季節のサイクルが5日ごとに変わり、展開がとても速いということ。1日1日を大切に、いつくしみながら過ごしてきた日本人特有の豊かな季節感があふれている」という。
北海道生まれの広田さんは、18年前に横須賀西海岸へ移住。海と山に囲まれた秋谷暮らしが気に入り、絵手紙や陶芸などの創作活動を始めた。3年前に古民家を改装したアトリエ「秋谷四季」も作り、仕事場にしている。
「季節の中にあらわれる現象や生命の営みのユニークさは、1つの作品のようにつながりを持っているようにみえる。小さな変化に目を向けることで、日々の暮らしを豊かにするヒントになれば」と広田さんは話している。