三浦半島の史跡を巡る「山城ガールむつみとゆく! 歴史追体験ツアー」が5月22日に開催され、市内外から26人が参加して好評だった。横須賀市観光協会が主催。
「きょうは三浦一族のことをたくさん自慢します」と歴史ガイドのむつみさん。同ツアーでは、平安時代の源平合戦「一ノ谷の戦い」(1184年)で「鵯(ひよどり)越えの逆落(さかおとし)」で真っ先に馬で駆け下り英雄となった佐原義連(さわらよしつら)の足跡をたどった。コースは約6キロで所要時間は4時間。
満願寺(横須賀市岩戸1)では、国指定重要文化財の木造観音菩薩像や地蔵菩薩像、「義連の墓」とされる廟所(びょうしょ)を拝観。
衣笠への入り口として要衝地であった「佐原城址」では、「横須賀開国甲冑(かっちゅう)隊」が登場するというサプライズもあり、参加者は一緒に記念撮影も。縄文時代の茅山(かやま)貝塚のある「慈眼院(じげんいん)」では、高台にある境内から久里浜の地形が見える。
一族の水軍拠点だったとされる怒田城址(ぬかだじょうし)へ。「源平盛衰記によると、衣笠合戦(1180年)では和田義盛が衣笠城ではなく、守りに強い怒田城にこもるように進言しましたが、三浦一門の当主三浦義明は広く知られた衣笠城での立てこもりを主張。その後落城しました」とむつみさんがエピソードを語る。
「残された三浦義澄や和田義盛らは久里浜から千葉県の房総半島に逃れ、源頼朝と合流。このとき船を出したのが怒田城だと考えられ、怒田城の北側には舟倉(ふなくら)という地名が残っていますよ」とも。
むつみさんの歴史体験ツアーは人気が高く、リピーターも多い。夫婦参加や茨城県など遠方からの参加者も。「歩くことが楽しい」「何度かツアーに参加して三浦半島の歴史の奥深さに興味を持った」との声も。
横須賀出身のむつみさんは「実家のすぐ近くに貝塚があるのは知っていたのですが、裏山が怒田城だと知ったのは25歳の頃。なぜこんなところにお城があったのかと思い、そこから三浦氏や地元の歴史について勉強を始めました」と話す。
三浦半島から各地に出て活躍した三浦一族のことを伝えたいと、ボランティア団体「三浦一族城郭保存活用会」を立ち上げた。千葉城郭保存活用会副代表、多古城郭活用会アドバイザー、「歴×トキ」代表として、歴史の楽しさを伝える活動を各地で続けている。
「歴史ある地に立ってそこで風に吹かれると、タイムスリップしたような気持ちになります。歴史散策はイマジネーションが大切なんですね」
秋にも同ツアーを開催予定。詳細は「山城ガールむつみ」公式サイト、横須賀市観光協会サイトで確認できる。