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創業56年、横須賀名物「三笠焼き」丸半商店が閉店 なつかしい味買い求める行列も

名物「三笠焼き」をひとつひとつ手作りで焼き上げる店主の実方瑞郎さん

名物「三笠焼き」をひとつひとつ手作りで焼き上げる店主の実方瑞郎さん

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 横須賀で50年以上愛され続けた名物「三笠焼き」の丸半商店(横須賀市大滝町1)が9月25日、老朽化したビルの建て替えのため閉店することになった。閉店の噂を聞いた地元ファンらが、なつかしい味を買い求めようと連日行列ができている。

店の前には、地元ファンや外国人客などの長い行列ができた

 「ひっそり店を閉めようと思っていたのが、いろいろ噂になってしまって」と店主の実方瑞郎(じつかたみつろう)さん(73歳)。北海道産小豆を使った黒あんと白あんの2種類があり、1個110円。粉を練って手作業でひとつひとにあんを入れ、手でひっくり返しながら焼く。表面の皮はモチモチした食感で、ほどよい甘さの小豆あんがたっぷり入っている。

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 夏場は1日150~200個ほどの売れ行きだったが、行列ができ始めてからは連日1,000個以上焼き続けているという。地元の年配客だけでなく若い男女グループや、行列を見た外国人客も並ぶようになった。近くに住む40代女性は「子どもの頃から慣れ親しんだ三笠焼きの味。お店がなくなるのはさびしい」と話す。

 同店は昭和37(1962)年に創業。戦後の混乱期に荒廃していた記念艦三笠が復元・公開された翌年に、先代オーナーの父親が三笠見学の観光土産として、「三笠」の文字と戦艦の絵が入った大判焼きの販売を始めた。開業当時は1個10円。JR横須賀駅からのバス料金と同じだった。

 表のショーケースには、あんみつやかき氷。店内にはビニール張りの赤い椅子10席があり、お茶のサービスも。学校帰りの中学生や高校生たちもよく立ち寄った。店には「昭和の空気」がいまも残る。

 半世紀以上使い続けた焼き型はすり減って、文字や絵の模様もかすれてきた。実方さんは「皆さんにこんなに愛着を持っていただき有難いことです。お客さんが来る限り、あすも材料がなくなるまで焼き続けますよ」とほほ笑んだ。