「ジャズの街・横須賀」復活を呼び掛けるジャズライブ「EM CLUB LEGEND~ヨコスカ・ジャズ協会発足記念ライブ」が2月19日、元映画館ライブハウス・ヤンガーザンイエスタディ(横須賀市大滝町2)で開催され、100人超の観客が集まり熱気に包まれた。
当時の記憶を元によみがえらせた「EM styleチリドック」
会場のスクリーンには、戦後ジャズのメッカとして知られた「EMクラブ(Enlisted Men´s Club)」(米海軍下士官兵クラブ)の映像も流され、当時の音楽シーンを思い起こさせた。
サックスの名手・中村誠一さんらの軽快なスイングに、観客らは立ち上がって大きな拍手を送った。演奏の合間に「EMクラブ・トークタイム」もあり、横須賀ジャズの変遷について紹介。当時の記憶を元によみがえらせたスペシャルメニュー「EM styleチリドック」も提供された。
終戦から1カ月後の1945年9月。田浦にあった海軍兵員宿舎が米兵向けクラブ第1号となり、戦後ジャズの出発点になったと伝わる。周辺にはジャズ演奏をする店が100軒を超え、その頂点としてEMクラブがあった。米本土から慰問のために著名ミューシャンが来日し、ルイ・アーム・ストロング、グレン・ミラーなども演奏した。
1950年代にEMクラブで演奏した高橋哲也さん(83歳)は思い出をこう語る。「学生時代にクラリネットをやっていたので、EMのバンドに引き抜かれた。当時はバンドマン不足でカカシといわれて楽器を持って立ているだけのメンバーもいた」といい、「給料も他の2倍と好待遇。ベニー・グッドマンなど本場ミュージシャンの演奏も目の前で聴けてラッキーだった」とも。
同協会代表理事の長坂利広さんは「ジャズが流れる街・横須賀を復活させたい。ミュージシャンたちから『横須賀で演奏したい』といわれるようなイベントを目指して活動していく」と意気込む。
今年9月には、どぶ板通りから横須賀中央駅周辺までを舞台にストリートジャズや店内ライブを展開する「ヨコスカ・トモダチジャズフェス」を企画している。