横須賀沖に浮かぶ無人島・猿島周辺で育つ「猿島産わかめ」の販路拡大を目指し、若手漁師と飲食店有志らがコラボし、早取りわかめの新ブランド「さるひめ」の育成を進めている。
11月下旬、安浦漁港でわかめの種付け作業が行われ、沖合いにある養殖棚に運ばれた。猿島海域は潮の流れも速く、豊富な栄養素を含んでいるという。猿島産わかめは固有種で、葉脈から先端の切れ目まで幅広で柔らかく、旨みとシャキシャキした食感が特徴。
横須賀東部漁協の後継者グループと市内飲食店店主らが今年2月、「猿島周辺海域の恵みを皆で活かそう」との思いを込め、「猿島海畑(さるしまばたけ)活性化研究会」を発足。わかめ養殖棚の共同運営を始めた。
猿島産わかめは、最盛期には約50軒あった養殖漁師が近年は10軒まで減少。同プロジェクトでは「わかめオーナー制度」を活用し、飲食店主らが買取保証することで、出来高に捉われず養殖に専念してもらおうというもの。両者が知恵を絞ってリスク分散を図りながら、増産して経済活性化を図ろうと計画している。
同メンバーで惣菜店を営む大湊雄治さんは「長さ30センチ位に成長した早取りわかめは茎(くき)まで柔らかく、しゃぶじゃぶで食べると鮮やかな色や香りを楽しめる」といい、「流通量が少なくなった猿島産わかめを皆で大事に育てていきたい」と話す。
早取りわかめは通常より1カ月早く、来年1月上旬に収穫予定。鮮度も品質も良いものを「さるひめ」と命名し、新ブランドとして市内飲食店などで売り出す。同グループは「価値を理解して思いを共有できる飲食店を募集している」という。問い合わせは同研究会(下澤さん、TEL 090-1532-4152)まで。