横浜・横須賀の港町を舞台に昭和20年代を振り返る特別展「ヨコハマ・ヨコスカ ストーリー ~2つの港町の戦後文化」が現在、県立歴史博物館(横浜市中区)で開催され人気を集めている。
スカジャンを見る米軍兵士(昭和26年7月、米国国立公文書館蔵)
同展では、戦後のジャズ音楽や映画、ファッション、食物などにまつわる資料約130点を展示。「プロローグ 焼け跡の中から」「第1章 ヨコハマストーリー」「第2章 ヨコスカストーリー」「第3章 ジャズが流れる港町」の4部構成で紹介する。
入口正面には、当時の進駐軍が使用し街中を走っていた米軍ジープ「ウイリスMB」の実物を展示。同ジープは、1948(昭和23)年に米軍補給廠(現・日産追浜工場)で生産された実車で、その後フィリピンに譲渡されていたものを個人輸入してレストアしたもの。
展示フロアには、東洋一の兵士向け娯楽施設といわれた横須賀「EMクラブ(旧海軍下士官兵集会所)」の写真、輸出用に作られたブリキ製おもちゃ、シルク製品、横浜の日本貿易大博覧会(昭和24年)のポスターや当時のスナップ写真なども並ぶ。
伝説的なジャズメン・原信夫さんのコレクションを中心にしたジャズコーナーも設置。海軍音楽隊出身で、戦後の横須賀・EMクラブで21歳のときにジャズと出会い、その後横浜に移って日本のジャズ音楽を育てた原さんの生涯をたどりながら、当時のジャズレコードや手書き楽譜、ステージ衣装なども展示。野毛の名物ジャズ喫茶「ちぐさ」の歩みも紹介。
連続講座「戦後のヨコハマ・ヨコスカ あの頃を語る」では、「ハマっ子の見た戦後」「昭和20年代の横須賀」「日本ジャズ成熟期」「横須賀JAZZ物語」「映画全盛期のヨコハマ・ヨコスカ」などをテーマにしたトークイベントも。
同館学芸部長の寺嵜弘康さんは「横浜と横須賀、2つの港町には共通点が多く、ジャズ音楽とのつながりも深い」という。「戦後、連合国軍が相次いで進駐を開始すると横浜や横須賀は外国人兵士の姿で溢れ、彼らは音楽、映画、洋服、食物などの外国文化をもたらす存在でもあった」といい、「当時の人々は焼け跡の中で別世界のような文化に興味を抱き、受け入れながら歩んだ戦後復興の道を理解してもらえたら」と話す。
6月17日まで。開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧料は大人900円、20歳未満・学生600円、高校生100円。詳細は同館サイトで確認できる。