第54次南極地域観測に派遣された砕氷船「しらせ」(12,650トン)が4月14日、母港の海上自衛隊横須賀基地に5カ月ぶりに帰港し、オレンジ色の船体を岸壁に浮かべている。同艦の南極派遣は4回目。
昨年11月11日に東京・晴海ふ頭を出港し、オーストラリア・フリーマントルを経由して南極を目指した。今年1月10日には、南極・昭和基地の北西18キロまで進んだが、厚さ4~5メートルの氷塊と1メートル超の積雪にはばまれて同基地への接岸を断念。予定されていた物資輸送はヘリコプターによる空輸を行い、物資671トン、燃料509トンを運んだ。
氷に体当たりして砕氷する「ラミング」は、往復で2,300回以上だったという。しらせの砕氷能力は、速度3ノットで1.5メートルの氷を砕いて進むとされる。4回の派遣のうち、接岸に成功したのは過去2回だった。
往路では、第54次越冬隊員30人、同夏隊員23人、夏隊同行者20人の計73人をフリーマントルから南極基地へ。復路では、第53次越冬隊員ほか77人をシドニーへ運んだ。廃棄物約216トンを含む約406トンの持ち帰り物資を輸送した。
2009年に建造されたしらせは、宗谷・ふじ・先代しらせに続く4代目の南極観測船。文部科学省が建造し、海上自衛隊が運用している砕氷船で、横須賀基地を母港にしている。しらせの輸送能力は、昭和基地の近代的な設備を実現し、あすか観測地点やドームふじ基地の建設など広域の観測活動を支えている。