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東日本最古の洋館「ティボディエ邸」、復元目指す-横須賀で市民シンポジウム

歴史的建築物「ティボディエ邸」復元目指す、「市民の会」シンポジウム

歴史的建築物「ティボディエ邸」復元目指す、「市民の会」シンポジウム

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 横須賀産業交流プラザ(横須賀市本町3)で11月18日、「横須賀に軍港資料館を作る市民の会」第3回公開シンポジウムが開催され、明治期の歴史的建築物「ティボディエ邸」(旧横須賀製鉄所副首長官舎)復元へ向け議論を交わした。

明治期の歴史的建築物「ティボディエ邸」の復元イラスト

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 当日は、同会会長で郷土史家・山本詔一さんによる基調講演「フランス人と横須賀の歴史」、歴史家・同市文化財担当者・市会議員らにるパネルディスカッションも行われ、約50人が集まった。

 ティボディエ邸は、1869(明治2)年頃に建築された東日本最古の洋風建築物。西洋と日本の建築技術が融合した建築史上でも貴重なものとされる。木造平屋で壁はレンガ造り、木材を三角に組むトラスト構造を取り入れている。横須賀製鉄所の造船技術監督として赴任したフランス人技師ティボディエの官舎として使われたもの。

 1935(昭和10)年頃には旧海軍の「参考品陳列館」に。戦後は、米海軍横須賀基地内の集会所として使用されていた。老朽化が進んでいたことから、復元することを前提に、2003年に米軍が3,500万円の費用を負担して解体。解体された部材などは現在横須賀総合高校に保存されている。

 復元には約2億円の費用が必要なため、横須賀市は財政難を理由に難色を示している状態。長期化した現状を打開しようと今年4月、歴史資料館として同邸復元を目指す「市民の会」が発足した。

 山本会長は「横須賀は基地の街、軍港として歴史的な重みを持っている。近代史の中での役割をきちんと評価する必要もある」とし、「観光スポットとしても集客できる資料館作りを目指したい」と話す。

 同市教育委員会の佐藤明生さん(文化財担当)は「文化庁との共同調査でも文化財として高い評価が出ている」といい、「多額の予算を使って復元することの価値を市民の皆さんに理解してもらえるかどうかが課題」とも。

 同市民の会では11月下旬、市民から集めた署名とともに請願書を市議会に提出予定。市議会での論議・進展に期待を寄せている。

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