横須賀で「みんなで歌うシンポジウム」-唱歌の歌詞で開国史たどる

「唱歌でつづる近代日本の歩み」をテーマに開催された「歌うシンポジウム」

「唱歌でつづる近代日本の歩み」をテーマに開催された「歌うシンポジウム」

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 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット(横須賀市本町3)で12月21日、「みんなで歌う開国史シンポジウム-開国の歴史とうた」が開催された。幕末から明治期の横須賀を研究している「横須賀開国史研究会」が企画・主催したもので、当日は約500人が集まった。

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 第1部は「唱歌で綴る近代日本の歩み」をテーマに、「われは海の子」「茶摘み」「鉄道唱歌」「鎌倉」などの唱歌を参加者と一緒に歌いながら、隠された歌の意味や時代背景を考える企画。「茶摘み」の歌詞をたどりながら、明治時代の貴重な輸出品だった日本茶の生産性向上や殖産興業という国策が反映されていたと指摘。「鉄道唱歌」の歌詞には、新橋から横須賀に至るまでのJR横須賀線(旧国鉄)経路にある大船・鎌倉・逗子などの歴史文化の紹介や、軍港都市としての横須賀の役割が詠み込まれていると解説を加えるなど、明治の唱歌が日本の近代化を支える国民教育的な役割をもっていたことが同研究会から報告された。

 第2部は、ペリー来航を詠んだ狂歌「泰平の眠りを覚ます上喜撰(じょうきせん)」の歌がいつ詠まれたものかを検証するパネルトーク。パネリストには明海大学教授の岩下哲典さん、東京大学史料編さん所の田中葉子さんを招き、コーディネーターは江戸時代から続く横須賀の老舗書店七代目で郷土史研究家の山本詔一さんが務めた。

 同研究会会長を務める山本さんは「歌には時代精神が見事に反映されている。近代化教育の色彩が強い『唱歌』に対して、民間からは文学者や詩人の間から『童謡』という素朴な歌が生まれることで、文化のバランスが保たれてきた。開国の歴史をたどることで横須賀を知り、市民の文化活動が活発になればと願っている」と話した。

 同研究会では、2001年から歴史研究レポート『開国史研究』を毎年発行している。問い合わせ横須賀市文化振興課(TEL 046-822-8116)まで。

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