黒船来航の地・浦賀や横浜を舞台にしたブロードウェイ・ミュージカル「太平洋序曲」が6月17日より、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で上演される。演出・振付は宮本亜門さん。
同ミュージカルは2004年、宮本さんがブロードウェイ初の東洋人演出家として米国デビューを果した作品で、トニー賞4部門にノミネート。幕末の黒船来航に揺れ、異文化と葛藤するさまざまな日本人の姿を「西洋の目線」から描いた異色のミュージカル。
作詞・作曲はスティーヴン・ソンドハイムさん、台本はジョン・ワイドマンさん。出演は、八嶋智人さん、 山本太郎さん、佐山陽規さん、麻乃佳世さん、小此木麻里さん、桂米團治さんほか。
江戸末期、鎖国破りの罪で捕えられたジョン万次郎(山本さん)は、「米国艦隊が日本へ向かっている」と幕府に伝える。老中たちは驚き、浦賀奉行所の与力・香山弥左衛門(八嶋さん)を呼び出し、米国との交渉役を命ずる。
香山と万次郎は奇策によって事態を乗り切ったかに見えたが、英国、オランダ、ロシア、フランスからも開国を迫られ、幕府は鎖国政策を捨てざるをえなくなった。外国人との接触が多くなった香山は西洋文化に傾倒するが、外国文化に早くから接した万次郎は日本文化のあり方を見つめ直す。数年後、香山は万次郎と再会し事態は思わぬ方向へと向かう…というストーリー。
宮本さんは開幕に先立ち、テレビ番組取材で黒船ゆかりの浦賀、久里浜、横浜開港資料館を訪問。江戸時代から続く浦賀の渡し船、黒船のペリー提督が初上陸した海岸も散策。宮本さんは「太平洋をはさんだ関係はここから始まった」といい、「横浜・横須賀を回ってみると、日本人が今こうして洋服を着ていたり、すべてのことの原点がここにあると感じる。舞台をもっと面白くしたくなってきた」と話している。
上演は7月3日まで。期間中、宮本さんのトークショーも予定。チケット料金は、S席8,500円、A席7,500円、B席(イス付き立見席)4,500円。詳細は同ミュージカルサイトで確認できる。問い合わせは同劇場(TEL 045-633-6500)まで。