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浦賀の千代ヶ崎砲台跡 オルガン工房のマイスターが実物大の砲弾模型を制作

須藤オルガン工房で、須藤宏さんと制作中の実物大砲弾模型

須藤オルガン工房で、須藤宏さんと制作中の実物大砲弾模型

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 国史跡の東京湾要塞跡「千代ヶ崎砲台跡」(横須賀市西浦賀6)に4月22日、パイプオルガン工房「須藤オルガン工房」(同)が実物大の砲弾模型を制作し寄贈した。

展示室に設置された実物大の木製砲弾模型

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 東京湾要塞跡は、明治時代に東京と横須賀軍港などを防衛するため、東京湾岸一帯に築かれた陸軍要塞の遺跡。千代ヶ崎砲台は要塞を構成した砲台のひとつ。築造当初の姿をとどめ、近代の軍事・築城技術を理解するうえで重要として2015(平成27)年に「国史跡」の指定を受けた。

 須藤オルガン工房主宰の須藤宏さんは神奈川県生まれ。辻オルガン製作所とドイツのオルガン製作所で経験を積み、1977(昭和52)年、ドイツで日本人初の「オルガン製作マイスター」となり、帰国し横須賀に工房を開いた。

 工房と要塞跡は200メートルほどの距離。要塞跡の一般公開に立ち寄った須藤さんは「28センチ砲弾の大きさを示す布製オブジェ」が展示されていたのを見て、「より精密に当時を伝える資料を制作してはどうか」と考え、砲弾の寸法を取り寄せた。木の廃材を木工旋盤に取り付けて削り、写真を元に弾底部も再現した。

 寄贈にあたり「爆発する心配はないけれど、オルガン工房に砲弾があると物騒ですよね」と笑い、「かつて砲弾が保管されていた地下の砲側弾薬庫は音の響きが良さそう。小さな音楽会を催せたら良いと思う」とも。砲弾模型は23日から展示室に設置する。

 史跡の一般公開は土曜・日曜・祝日のみ。公開時間は9時30分~16時30分(10月から2月は15時30分まで)、入場無料。敷地内への車・自転車・二輪車は進入禁止のため付近の有料駐車場の利用が必要。

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