150年前の西洋館・ティボディエ邸(横須賀製鉄所副首長官舎)を再現した「近代遺産ミュージアム ティボディエ邸」が5月29日、横須賀本港沿いのヴェルニー公園内にオープンした。
横須賀市は、市全体を大きなミュージアムとして周遊する「よこすかルートミュージアム」を推進しており、その中核拠点として同施設を整備。多彩なガイダンス機能を持つ施設として一般公開する。
館内では、明治期の衣装をまとった女性アテンダントが案内する。同邸解体時に保存した当時のトラス部材を用いて一部を復元し、旧官舎の再現部屋、実物資料なども展示。観光の見どころを紹介するデジタルマップも。
シアターでは、CGで再現した体験型ムービー「横須賀造船所めぐり~明治の横須賀にタイムトラベル」を上映するほか、ペリー来航時に演奏された行進曲を海上自衛隊横須賀音楽隊が再現演奏した音楽も流れる。
ティボディエ邸は、1869(明治2)年頃に建築された東日本最古の洋風建築物。西洋と日本の建築技術が融合した建築史上でも貴重なものとされる。造船技術監督として赴任したフランス人技師ティボディエの官舎として使われた。戦後は米海軍横須賀基地内にあったが、2003年に解体された。
1865(慶応元)年に建設が始まった横須賀製鉄所は、1871(明治4)年に「横須賀造船所」に改称。欧米先進国の造船所に引けを取らないドライドック3基や船台5台を備え、各種金属を溶かす高炉、最新の加工機械なども導入。日本の近代化に貢献し、技術の発展とともに生活習慣など新しい文化も生まれた。当時の観光名所として、全国各地から大勢の見学者が訪れたという。
開館時間は9時~17時。入館無料。シアター観覧料は200円(高校生以下無料)。詳細は同サイトで確認できる。