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武蔵大生ら、横須賀で街の音取材-「音風景」をデータブック化

横須賀・どぶ板通りのスカジャン店を訪ね、刺繍ミシンの音を収録する大学生ら

横須賀・どぶ板通りのスカジャン店を訪ね、刺繍ミシンの音を収録する大学生ら

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 武蔵大学社会学部メディア社会学科の学生・教官ら15人が9月8日・9日、横須賀・汐入でゼミ合宿を行い、地元商店街や無人島・猿島などで「街の音風景(サウンドスケープ)」を記録するフィールドワークを行った。

老舗スナックで、ママさんに音の思い出をインタビューする大学生たち

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 フィールドワークの拠点には、同市内初のコワーキングスペース「ヨコスカテラス」(横須賀市小川町)を活用。学生たちは4つのチームに分かれて「街の音」調査へ。同大兼古ゼミでは、年間を通じて「消えてしまいそうな街の音」をテーマに活動しており、音のレッドデータブックを作成しようというもの。

 自然・環境班は、東京湾の無人島・猿島へ渡って要塞跡など歴史遺産が残る島内をまわり、波や風の音、トンネルや洞窟、弾薬庫跡などで音を収録。家庭・生活班は、昭和レトロな雰囲気が濃厚な飲食店街・若松マーケットで、創業50年超のスナック・バーの女性経営者を訪ね、音の思い出、生活音、氷業店で氷作りの音なども集めた。

 公共空間・産業班は戦前から続く上町商店街へ。大正期創業の祭道具店、洋品店、三味線店、和菓子店、江戸末期から続く表具店などで熟練職人をインタビュー。手動ミシン、職人が使う道具音などを取材した。

 メディア班は、本町どぶ通りを舞台にした映画「豚と軍艦」(1961年・今村昌平監督作品)を取り上げ、映画の中の音と現在の音との比較調査に取り組んだ。米兵向けスーベニア店で古い写真を見ながら当時のエピソードを取材。スカジャン店では数少なくなった手縫い刺繍ミシンの音などを収録。少子高齢化・人口減少が進む中で、「この音はいつなくなってもおかしくない。記録することに価値がある」という商店街関係者の声も。

 2日目には、音のプレゼン発表会を実施。上町を取材した市川聡美さん(同大2年)は「商店街約160軒のうち、十数軒が50年~100年以上の歴史を持つ職人の店があり驚いた。昔堅気の職人さんの心意気や暖かさも伝わった。資料館などで昔の写真とともに音の記録も展示できたら面白いのでは」と話す。

 音レクチャーを担当したラジオディレクターの横内陽子さんは、「昔から伝わる音には街の記憶が宿っている。第3者的な目線によって街の特徴的な音がピックアップできる」と指摘する。ゼミ担当講師の兼古勝史さんは「10月頃には今回の音調査の中間成果を関係者に提出したい。サウンドスケープという手法で街を再発見することで、商店街の活性化に少しでもつながれば」と話している。

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