横須賀の地元ラジオ局「FMブルー湘南」(78.5MHz、横須賀市大滝町2)は3月16日夜、東日本大震災から2回目の計画停電が市内各地に分刻みで広がっていく様子をラジオで伝えた。
横須賀中央・三笠商店街にあるガラス張りの「FMブルー湘南」スタジオ
地元住民からはツイッターを通じて、「浦賀で停電が始まった」など次々につぶやかれた。つぶやきからは想定外の停電地域が出たことも分かった。「街全体が暗くなっています。防犯には注意して外出などは控えましょう」とパーソナリティーの石川和美さんがアナウンス。「街の皆さんの声を生かしながら、情報を共有して少しでも不安を取り除きたい」と石川さん。
防災特集を始めてから、街の商店でも同局に波長を合わせたラジオを店頭に置き、通行人にも聞けるよう配慮してくれる店も増えてきたという。計画停電に伴って、乾電池で使えて地域の情報を伝える「ラジオの力」に住民の注目が集まっている。
11日午後の東日本大震災では、横須賀でも震度5を記録。地震発生から約1時間後、自宅にいたスタッフもスタジオに続々と集まり、特別編成で防災特集の放送が始まった。同局が独自に収集した地震・津波情報、道路・鉄道情報、商業施設の営業時間、市からの発表など街の動きを早朝から深夜まで放送し続けている。市内3カ所に送信アンテナが設置され、横須賀・三浦両市をカバーする。
石渡肇部長は「だんだん被災地の状況が分かってくると、地域の防災情報の重要性をひしひしと感じた。通常の番組を中断し、開局以来始めての本格的な防災放送に取り組んでいる」という。同局の開設は1994年12月で、翌月に阪神・淡路大震災が起こり、開局当時はスタッフも少なく戸惑いもあったという。現在はスタッフ9人が交代で放送を支える。
開局以来パーソナリティーを務める鈴木初音さんは「停電や電車運休など予定もそのつど変更されるので対応や確認作業に追われ、関係機関担当者からの返事待ちもしばしば。待っているのは私だけではない、街の皆さんも待っているんだと思って気持ちを引き締めています」と話す。
鈴木さんは「横須賀は被災地ではありませんが停電の影響などで混乱が続き、帰宅困難な人もたくさんいる」と振り返る。「こんなときだからこそ笑顔で助け合って、前向きな気持ちになれるよう明るい話題も提供したい。皆さんからの心温まる情報をお待ちしています」と呼び掛ける。
16日には、吉田雄人・横須賀市長が電話出演で「市民へのメッセージ」を発信し、「落ち着いた声を聴いて安心した」と反響も大きかった。17日13時からも、市長メッセージを放送予定。
同局では電話・FAX・Eメールのほか、ツイッター(#yokosukafm)でも情報を受け付けている。問い合わせは同局(TEL 046-821-3500、FAX 046-821-3502)まで。