横須賀中央のカフェ「珈琲時代」(横須賀市大滝町1)で、戦後のどぶ板通りなどの風俗をテーマにした杉山一夫さんの版画展「アゲイン!ヨコスカ・ドブ板の女」が行われており話題を呼んでいる。
日本版画家協会会員の杉山さんは1950年、横須賀・西逸見の生まれ。米海軍横須賀基地の近くに住んでいた杉山さんは、60年代後半から街の記録写真を撮り始め、70年代には米兵相手の女性たちを描いた「ヨコスカ・ドブ板シリーズ」の連作版画を発表。その後、他の作品を描いていたが、「戦後のどぶ板を見たい」との要望が多かったことから新作の制作に取り掛かったという。
会場には1960年代の地図も展示。汐入から本町にかけてのどぶ板通りには、当時約300軒の米兵相手のバーやスーベニアショップがあった。「日の出町・安浦周辺まで入れると1,000軒はあった」(杉山さん)という。
「英語ホンヤク室とアリラン食堂」と題した版画では、米海軍下士官集会所・EMクラブ前にあった「恋文屋」と呼ばれた英文手紙代筆業などの様子を描いた。名作映画「忍ぶ川」(1972年、主演=栗原小巻)のロケ地となった安浦の料亭街などの版画も。
70年代の高度成長期以降に街は様変わりしたが、杉山さんは「横須賀の遺産として戦後の街の記憶を残しておきたい」と話す。現在、「ジャズの街・ヨコスカ」をタウン誌に連載中で、「戦後は米兵相手にジャズも盛んだった。当時の資料や写真なども集めており、昔を知る人から話を聞きたい」とも。
開催時間は11時~20時(最終日は18時)。30日まで。