横須賀美術館(横須賀市鴨居4)で現在開催中の「おもしろどうぶつ展」で、横須賀出身の彫刻家・土屋仁応(よしまさ)さんの作品「麒麟(きりん)」「羊」「ユニコーン」などの柔らかい表情を持つ木彫りの動物像が話題を呼び、観覧客らを楽しませている。
34歳になる土屋さんの作品は、本の装丁や雑誌でも注目されるなど気鋭の若手彫刻家。空想上の動物をモチーフにした作品は、柔らかな白い木肌を生かした夢見るような動物の表情が特徴で、見る人を引き付けている。土屋さんは「動物を見ていると言葉は通じないけれど、何か考えているんだろうなという感じがする。それを想像するのが好きなんです」という。
土屋さんは静岡・東京・北海道で過ごした後、小学校から高校までの思春期を横須賀で育った。追浜高校を卒業後、東京芸術大学に進み、大学院で文化財保存学彫刻博士課程修了。仏像の世界と出会い、木像彫刻の技法を学んだ。動物の目に水晶を埋め込むなどの技法で独特の生命感あふれる表情を創り出している。
「麒麟は世の中が平和な時だけに出現する瑞獣(ずいじゅう)。人々の平和への願いのシンボルなんです。震災復興への願いも込められている」と土屋さん。「郷里の横須賀にすてきな美術館ができ、いつか自分の作品が展示できたらと願っていた。あこがれの美術館に出品できて光栄です」とほほ笑む。
同展では、「迫真の表現」「見世物とサーカス」「夢と楽園」「どうぶつと芸術家」という4つのテーマで、幕末から現代までの作品約70点を展示している。
展覧会は8月28日まで。開館時間は10時~18時。観覧料は、一般=700円、高大生・65歳以上= 500円、中学生以下無料。市内在住在学の高校生無料。