横須賀の和菓子店「いづみや」(横須賀市衣笠栄町1、TEL 046-852-5382)で、2月中旬から販売を始めた新商品「黒船かりんとうまんじゅう」が好評で、1カ月間に1万個以上を売り上げている。
同商品は、幕末に浦賀へ来航した「黒船」をイメージした真っ黒な和菓子。中身のあんは北海道産小豆を使った自家製こしあんをしっとりと練りこみ、生地はサクサク感のある揚げたかりんとう(沖縄産黒糖使用)で、表面は竹炭パウダーをまぶしてツヤのある漆黒に仕上げたもの。1個100円。3個入り、6個入りのギフト用パッケージ(箱代別途100円)も用意する。
3代目店主で35歳の和菓子職人・三堀純一さんが考案したオリジナル作品で、「黒船からいち早く異文化を取り入れた横須賀らしさを表現したいと、斬新な和菓子を考えた」という。1日400~500個を売り上げる同店の人気商品となり、リピーターも増えている。
同店は1954(昭和29)年創業。三堀さんの父親で2代目店主・昇さんが考案した名物「よこすか焼き」が同店の売れ筋商品。今回の新商品は、3代目が「先代に挑戦する意気込み」で生み出した。社内では「洋風過ぎるのでは」と心配する声もあったという。
幼い頃から和菓子作りを学んだ三堀さんは、15歳から音楽バンドに熱中してミュージシャンを目指したことも。2002年に米国・ローズフェスティバルに参加して和菓子作りを披露したことで、プロの和菓子職人としての意識に目覚めたという。2007年、2008年にテレビ東京の番組「TVチャンピオン」に出演。準決勝まで進出し、ユニークな和菓子作品が評判となった。2009年より、同店が運営する和カフェ「いづみ茶房」で音楽ライブイベントも開催する。
和菓子の新規需要を開拓する三堀さんは、「ホワイトデーにブラックスイーツを」と店頭で呼び掛けている。「黒船かりんとうまんじゅうは新食感のスタイリッシュなスイーツを目指したもの。若い人たちに楽しんでもらえたら」と話す。