東京電力は3月25日、東日本大震災で不足した供給電力確保のため、昨年4月から計画停止していた横須賀火力発電所(横須賀市久里浜9)を今年7月末までに運転再開すると発表した。地元・久里浜商店街では、発電所復活を歓迎するとともに、以前販売されていた地元銘菓「発電もなか」を懐かしむ声も上がっている。
同発電所では、一部解体工事が進んでいたが、火力3・4号機 ガスタービン発電機1・2号機を復活させ、90万キロワットを供給する見込み。停止直前には150万キロワットの供給能力があったという。
東電は、地震により福島第1原発や火力発電所が停止したため、供給電力の確保に努めている。今夏の供給力は4,650万キロワット程度の見込みで、電力需要を大幅に下回ると予想され、節電を呼び掛けている。
横須賀火力発電所は1957年(昭和32年)に建設を開始し、1970年(昭和45年)には1~8号機まで営業運転開始。当時の総出力は263万キロワットと世界最大級で、三浦半島・京浜工業地帯へ電力供給した。
2004年10月より、火力5~8号機、ガスタービン2号機が長期計画停止。2007年、柏崎刈羽原子力発電所停止による電力不足解消のため一部復活したが、リーマンショック後の不況により電力需要が落ち込み、2010年4月から全ての発電機が長期計画停止となっていた。
「発電もなか」は、同発電所の完成当時(1970年代頃)、地元商店街にある和菓子店「盛屋菓子舗」(久里浜4)が地元銘菓として売り出したもの。具には数種類のあんを使い、発電機をかたどった四角形の「もなか」が土産品として人気を集めたという。同店は3年前に閉店し、現在は販売されていない。
同商店会協同組合の森下守久理事長は「震災後の自粛ムードや計画停電の影響で商店街も人通りが少なくなっている」といい、「発電所の再開で、少しでも街に活気が戻ってくれたら」と期待する。