横須賀市内の古いトンネルを訪ね歩くツアー「横須賀隧道(ずいどう)めぐり」が12月5日・12日に初めて実施され、関東各地から合計50人が参加して好評だった。企画は「ティーゲート」(東京都千代田区)、横須賀市観光協会が協力。神奈川県観光資源開発支援事業の一環。
同ツアーは、市内の200を超えるトンネルの中から建設様式や歴史性など特徴のあるトンネルを選んで案内するもの。案内人は、「廃道本」(実業之日本社刊)などの著作がある平沼義之さん。
平沼さんは「横須賀は海と山に囲まれた地形でトンネルが多い。明治の頃から軍港として発展し、人の移動や物資輸送で軍港を支えたのが大小200を超えるトンネルだった」という。平沼さんは古いトンネルの年代や様式、時代背景を3年間にわたって調査。今回、市内36カ所の名物トンネルを紹介した「横須賀トンネルマップ」と題する冊子を発行した。
当日のツアーでは、京急追浜駅から国道16号線周辺を経てJR横須賀駅までの約9キロを3時間30分かけて歩いた。1933(昭和8)年に作られた「向坂隧道」、1906(明治38)年の「筒井隧道」、「近代土木遺産」(土木学会)に認定されたJR田浦駅構内の赤レンガ造りの鉄道・貨物トンネルなど歴史的なトンネル10カ所を案内した。
参加者からは「トンネルの歴史を初めて知ったが、いろいろなエピソードがあって面白い」(横浜市在住・30代男性)、「ツアーとして定期開催してもいいのでは」(東京都内在住・30代女性)という声も。
全国各地の廃道・隧道を訪ね歩く平沼さんは「普段何気なく通り抜けているトンネル。昔はこれを『隧道』と呼んだ。技術力も資金力も乏しかった戦前のトンネル建設は大変な困難があった」といい、「戦前に作られた隧道は、今も変わらず使われているもの、すでに役目を終えたものもある。愛すべき地域発展のシンボルを皆さんに知ってもらえたら」と話す。