観音崎自然博物館で「コオロギ相撲」-中国伝統の娯楽を再現

観音崎博物館でオスのコオロギ同士を闘わせる「コオロギ相撲」。中国の伝統的な娯楽を再現した

観音崎博物館でオスのコオロギ同士を闘わせる「コオロギ相撲」。中国の伝統的な娯楽を再現した

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 観音崎自然博物館(横須賀市鴨居4、TEL 046-841-1533)で9月27日、中国の伝統的な娯楽「闘蟋(とうしつ)」を再現したイベント「コオロギ相撲と煎茶(せんちゃ)の会」が行われた。

コオロギ相撲の土俵は、弁当箱大の透明なプラスチィク容器

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 中国で「闘蟋」と呼ばれるコオロギ相撲は、約1200年前に唐の宮廷で始まった遊びで、現代中国でも男性の間で人気のある娯楽。同館の石鍋壽寛館長が昆虫研究の一環として上海でコオロギ相撲のノウハウを習得し、毎年秋にコオロギ相撲の観察会を開催している。

 同イベントは「闘蟋にはサロン的な意味合いもあり、お茶を飲みながらコオロギ相撲を観戦しよう」という企画で、今回初めて一茶庵家元・佃一可さんによる「煎茶の会」も同時に開いた。「闘蟋と同じ頃、唐の時代に始まった『闘茶(とうちゃ)』という遊びを用意した」と佃さん。

 コオロギ相撲は間仕切りのある弁当箱大のプラスチック容器が試合場で、オスのコオロギ同士を戦わせる。飼い主が薬草やネズミのひげなどで作った「茜草(せんそう)」と呼ばれる細い筆でコオロギを刺激すると、コオロギは攻撃本能を高める。

 対戦準備ができた後に間仕切りをはずすと、縄張り意識を高めた2匹のコオロギが相撲を始める。どちらか一方のコオロギが戦意を喪失して敵に背中を向けると勝負がつき、勝利したコオロギは羽を震わせてリンリンと雄叫びをあげる。コオロギ相撲には、ツヅレサセコオロギやフタホシコオロギが使われる。

 石鍋館長は「試合前にメスと交尾させたり薬草につけたりと、コオロギの戦意を高める訓練方法がたくさんある」と話す。コオロギの体重は0.3~0.5グラムで、0.01グラム単位で30階級を設けて階級別に競技を行う。清朝の時代には数億人の中国人が熱狂して賭博などを行ったため、文化大革命で厳しく取り締まられたが、現在はスポーツとして普及しているという。

 「昨年の中国コオロギ相撲の全国大会決勝戦では、対戦時間は35分間に及び、上海のコオロギが優勝。優勝したコオロギは3,000万円の高値で取り引きされた」(石鍋館長)とも。子どもから大人までコオロギ相撲を楽しむ中国では、「花鳥魚虫市場」にコオロギ専門店が数多く軒を連ねているという。

 コオロギ相撲の後には「煎茶の会」が開かれ、5種類のお茶を飲み比べる「闘茶」が行われた。小さな杯でお茶をゆっくりと味わい、「どれとどれが同じお茶か」を当てる「本非(ほんぴ)あて」という遊びで、参加者はコオロギ相撲の余韻を楽しみながら中国の虫文化やお茶の伝来について語り合った。参加者の女性は「虫の音を聞きながらお茶を飲み、コオロギとの戯れに秋の風情を味わえた」と話している。

 同館では現在、16種類の虫の鳴き声や中国の虫文化にまつわる道具なども展示する「日本と中国の鳴く虫文化」展を開催している。11月1日まで。開館時間は9時~5時。月曜休み。入館料は大人=400円、高校生=300円、小・中学生=200円。

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