三浦半島最南端の城ヶ島(三浦市三崎町)で2月9日・10日、旧暦の正月を祝いながらひと晩かけて海水から塩を作るワークショップ「年越し塩炊き祭り」が行われた。
当日は「つるや食堂」近くの海岸に、地元有志や関東各地から約100人が集まった。城ヶ島の海辺でくみ上げた海水を使い、まきで火を起こし平釜で煮詰めて塩を作るという昔ながらの塩作りを体験するイベント。
9日昼過ぎに火入れを行って塩炊きを開始。参加者各自が持つスキルや道具を提供し合ってテントや炊事場を設けた。夜にはキャンドルやランタンの灯りで、音楽やダンスなどのワークショップも。翌朝には朝ヨガや餅つきなども行い、塩がゆっくりと炊き上がるのを待った。
10日正午頃に白い塩が炊き上がり、天日干しに。しょっぱくてほろ苦く、ほんのりと甘みもある深い味わいの城ヶ島の天然塩ができ上がった。横浜から参加した20代女性は「皆で火を囲みながら幻想的な夜を過ごし、自然の恵みに感謝して塩を分け合いました」という。
同祭りを企画した冨田貴史さん(36歳)は「東日本大震災や原発事故から立場や地域を越えてシェアすることや助け合うことの大切さを学んだ」といい、「塩は私たちの命を支える源。古来から使われていた和暦の年の瀬に、塩作り体験を共有することで自然や暮らしを見つめ直すことができたら」と話す。