県立金沢文庫(横浜市金沢区)で現在、横浜と横須賀の中間に位置する「横浜市金沢区」の歴史を振り返り、横須賀軍港の影響の大きさを検証する資料を集めた「大横須賀と金沢」展が行われている。
同展では、幕末に東京湾の海防を担った金沢藩の頃から昭和までの歴史的な資料85点を展示。「幕末の海防と金沢藩」「近代都市横須賀の発展と金沢の近代化」「東京湾要塞と海軍航空技術廠」「飛行機の街・金沢」の4つのテーマで展開する。
明治時代に作成された「横須賀港一覧絵図」、旧海軍航空施設の写真や設計図、旧陸海軍のレシピだったカレーが大正から昭和にかけて一般にも普及した当時のカレー・ラベルや食器類、福神漬け缶詰ラベル、商店街のカレーチラシなどの珍しい資料も展示する。
金沢地域は、江戸時代に金沢藩としてまとまっていたが、近代になると国際貿易港・横浜の文化圏と横須賀軍港の文化圏の中間地帯となった。昭和になると、戦前の大合併で横浜市の行政区画に組み込まれたが、軍事的・経済的には「横須賀鎮守府」を中心とする旧海軍管轄区域だった。
同館学芸課の永井普さんは「金沢地域は現在の行政区分では横浜市になっているが、横須賀の目線から経済・文化を見直す試み。横浜中心に考えがちな金沢地域の近代を再検討する素材を提示している」と話す。
金沢文庫は、称名寺近くにある日本最古の武家文庫。県立施設として再建され、貴重な書物や古文書などが収蔵されている。
企画展は7月31日まで。開館時間は9時~16時30分。月曜定休。問い合わせは同館(TEL 045-701-9069)まで。