さいか屋・横須賀店、「大通り館」5月閉館へ-事業再生ADRが成立

「さいか屋」横須賀店。5月に「大通り館」を閉館することが決まった。

「さいか屋」横須賀店。5月に「大通り館」を閉館することが決まった。

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 経営再建中の老舗百貨店「さいか屋」(本店・川崎市)は2月1日、債権者会議を開き取引金融機関の同意を得て、店舗縮小や人員削減などを盛り込んだ事業再生計画が成立したと発表した。創業地の横須賀店(横須賀市大滝町1)では、3館のうち主力の「大通り館」を5月11日に閉館することが決まった。

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 再生計画は、産業活力再生法に基づく「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」により、3年間で経営の建て直しを図る。川崎店は資産を売却して借入金の返却にあて、建物賃貸契約によるリースバック方式で営業を継続する。閉鎖する横須賀店・大通り館は、繁華街に面して立地が良いことから賃貸テナントなどを誘致する予定。

 人件費削減のため、社員全体の3割にあたる約200人を削減。正社員のパート化も推進され、2月27日~4月7日までの期間に希望退職者を募る。岡本康英社長は3月23日に辞任し、実弟の岡本洋三理事(藤沢店店長)が新社長に就任する。

 取引金融機関は26 億円の債務免除を了承し、債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)による7億円の融資も含めると、総額33 億円の金融支援を行う。創業一族の岡本家は保有する株式93万株を無償提供する。

 営業政策ではアパレル中心の商品構成を見直し、売場の改廃などにより食料品売場や人気テナントを1 階メーンフロアへ移設・拡大する方針。

 さいか屋は1872(明治5)年、横須賀に「雑賀(さいか)屋呉服店」を創業して以来、138年の歴史を持つ老舗百貨店。1956年、川崎進出とともに本店を川崎に移す。川崎・横須賀・藤沢に百貨店3店舗、町田にファッションビル1店舗を展開する。

 横須賀店では、1990年に新館・南館を新設して売り場拡大を図ったが、小売業界が不振にあえぐ中で業績は低迷。昨年8月には、南館に大手カラオケ店を誘致するなど業態転換で経営効率化を図ったが、債務超過に陥っていた。2010年2月期の業績予想は前期比17.5%減の553億円。

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