正月の松飾りやお札など縁起ものを焼いて新しい年の家内安全と無病息災を祈る「おんべ焼き」の伝統行事が1月10日、横須賀東海岸の久里浜・野比海岸で行われた。
竹を組んだ高さ約8メートルのやぐらに、その年に飾った門松やしめ縄、書き初めで書いた物などを持ち寄って焼く火祭りで、「年神様を送り返す」意味があるという。「おたき上げ」の火で餅を焼いて食べると、一年間風邪をひかないとの言い伝えもある。 おんべ焼きは地域によっては「どんど焼き」「左義長(さぎちょう)」ともいわれる。
野比海岸では志も・野比東・中村の3カ所で行われ、日の出前の6時頃から大勢の人が集まりにぎわった。竹のやぐらに「火入れ」されると勢いよく燃え上がり、時折り「パン」と竹のはぜる大きな音とともに、早朝の海辺に火柱が立ち昇った。
志もおんべ焼き実行委員会の永塚英征さんは「数十年前は早朝から子ども同士でリヤカーを引いて、『おんべ青燈(せいと)燃すぞ、じんじとばんばと、飛び起きろ』と歌いながら町内各家庭を回り、燃やすための正月飾りを集めた記憶がある」と振り返る。同総代の早坂和彦さんは「おんべ焼きは地元の人たちの新年の交流の場ともなっている。地元の伝統行事を大事に守り伝えていきたい」と話す。
11日には長沢海岸・熊野神社、17日に長沢海岸・長岡でも「おんべ焼き」が行われる予定。詳細はサイトで確認できる。